抗酸化サプリメントの摂取が血清中の抗酸化能や酸化ストレスマーカーに与える影響
Jerucha L. Nelsonら, J Nutr. 133: 3117-3123, 2003

 
酸化ストレスは慢性疾患を進行させる因子として考えられている。本研究では、高齢者を対象にビタミン・ミネラルのサプリメント摂取や、高カロテノイド含有食摂取による、酸化ストレスや抗酸化能の変化について調査した。

 

方法:二重盲検プラセボコントロール試験
対象者:55名(平均年齢71.2±5.5歳、65-85歳):男性21名、女性34名
期間:5週間
 
4群に無作為割付
抗酸化サプリメントカプセル摂取群(15名)
抗酸化サプリメントタブレット摂取群(13名)
カロテノイド高含有食摂取群(13名):指定された野菜・果物の中から選択して摂取
コントロール群(14名)
 
表1 カプセル・タブレット中含有量(2粒中)
 
タブレット
カプセル
 
mg/日
β-カロテン
4.0
2.4
アスコルビン酸
400.0
90.0
dl-α-トコフェロール
150
N/A*
d-α-トコフェロール  
N/A*
リボフラビン
10
2.6
亜鉛
60
-
4
-
マンガン
10
-
セレニウム
0.04
0.05
ルテイン+ゼアキサンチン
4
6
チアミン
-
2.25
ナイアシン
-
20
ビタミンB6
-
3
葉酸
-
0.2
ビタミンB12
-
0.001
ビオチン
-
0.15
パントテン酸
-
15
ビルベリー抽出物
-
40
ブルーベリーパウダー
-
50
レモンパウダー
-
250
ブドウ種子抽出物
-
10
リコペン
-
0.5
ピーチパウダー
-
40
緑茶抽出物
-
100
ほうれん草パウダー
-
100

*ビタミンEとして18IU/日

 
結 果
プラセボ群と比較すると、高カロテノイド含有食群およびカプセル摂取群において、いくつかの酸化スレスマーカーの値が低かったが、介入前と介入後を比較した場合は、酸化ストレスのマーカーや抗酸化能に有意な差はみられなかった(表2)
 
表2 各群の介入前後における血清・尿中の抗酸化物質・ORAC・酸化ストレスマーカーの測定値
       
P-value
   
摂取前
摂取後
摂取前vs摂取後
ルテイン
μmol/L
カプセル
0.19±0.05
0.34±0.20
0.001
タブレット
0.18±0.06
0.39±0.11
0.001
食事
0.19±0.09
0.40±029
0.002
プラセボ
0.21±0.05
0.20±0.07
NS
ゼアキサンチン
μmol/L
カプセル
0.05±0.02
0.09±0.05
0.004
タブレット
0.06±0.02
0.09±0.08
NS
食事
0.04±0.02
0.07±0.03
0.14
プラセボ
0.06±0.03
0.07±0.05
NS
β-カロテン
μmol/L
カプセル
0.44±0.23
0.76±0.56
0.001
タブレット
0.70±0.49
1.43±0.76
0.001
食事
0.53±0.39
0.72±0.28
0.044
プラセボ
0.49±0.19
0.40±0.22
0.006
α-トコフェロールμmol/L カプセル
26.47±9.23
33.81±13.91
0.003
タブレット
26.73±5.62
40.75±10.83
0.001
食事
23.38±7.28
31.09±7.92
0.004
プラセボ
25.52±5.98
29.62±10.77
NS
ORAC
μmol/L
カプセル
3232.9±693.8
3035.2±369.3
NS
タブレット
3051.5±512.3
3099.8±551.6
NS
食事
3002.3±466.1
2914.9±473.6
NS
プラセボ
3146.2±594.5
3056.6±511.1
NS
8-OHDG
mmol/mol クレアチニン
カプセル
5.04±3.63
4.87±3.09
NS
タブレット
4.85±4.46
7.20±5.72
NS
食事
3.90±3.82
2.55±2.48
NS
プラセボ
7.86±4.53
8.99±5.57
NS
平均値±SD
NS: P>0.05、ORAC: oxygen radical absorptive capacity
 

Home Top

 

(c)Copyright Vitamin Information Center since 2000 December