血液透析患者における抗酸化酵素活性低下をビタミンEが改善
Belma Girayら, Clinica Chimica Acta 338 (2003)91-98より

 

方 法
対象: 尿毒症患者 36名(男性24名、女性12名)、平均年齢49±14歳 血液透析 3回/週、透析治療期間 平均41.4±29.6ヶ月 コントロールとして健常者36名(男性24名、女性12名)、平均年齢49±14歳
患者にビタミンE600mg/日(2×300mg)を14日間投与し、ビタミンE摂取前後の血漿中TBARS、赤血球中抗酸化酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ;GSHPx、カタラーゼ;CAT、スーパーオキシドディスムターゼ;SOD)を測定
 
結 果
透析治療患者では、健常者より抗酸化酵素活性が有意に低下しており(P<0.001)、またTBARS値は有意に増加していた(P<0.001)。 ビタミンE摂取により、透析患者でのTBARSが低下(P<0.001)。またGSHPxとSOD活性が有意に増加した(P<0.001)。透析患者において、ビタミンE摂取後のCAT活性の増強については、摂取前後の有意差はなかった。
 
ビタミンEは上部・下部の気道感染の日数や発症率には影響を及ぼさなかった。 しかし、ビタミンE摂取群における、一つまたはそれ以上の気道感染の発症者数は有意に少なかった(全対象者:リスク比0.88<95%CI 0.76-1.00> P=0.48、試験完了者:リスク比0.88<95%CI 0.75-0.99> P=0.04)。 また、上部気道感染については、全対象者でリスク比が 0.84 <95% CI 0.69-1.00> P=0.05 、試験完了者においては、リスク比 0.81 <95% CI 0.66-0.96> P=0.01であった。
 
結 論
血液透析により、血中の抗酸化酵素活性の低下や、脂質過酸化の進行が考えられるが、ビタミンEを摂取することにより、これらのダメージを抑制できることが推察された。
 
 

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