血清ビタミンC濃度と死亡率との関係(疫学調査)
                           Khaw K-Tら, Lancet 2001; 357:657-663
 
 
コメント
 これまでの前向き研究の結果では、ビタミンCが冠疾患やガンに与える影響は確証されていない。男女における血漿ビタミンC濃度と死亡率との関係を調査したEPIC-Norfolk前向き研究は、Dwyerらの研究で、早期動脈効果に悪影響がみられた結果とは反対に、心疾患において好影響が観察された。
  19,496人の男女を対象に4年間行われたこの研究では、血漿中ビタミンC濃度はあらゆる原因(冠疾患、虚血性心疾患、がんなど)による死亡率と逆相関関係にあった。血漿中ビタミンC濃度5分位中の最高濃度群の総死亡率は、最低濃度群を100%とすると男性で48%、女性で50%であった(p<0.0001)。
また最高濃度群では、冠疾患が男性で71%(p<0.001)、女性で59%(p<0.02)減少した。ガンの危険率は男性で53%(p<0.001)減少したが、女性では有意な減少はみられなかった(p<0.10)。
果物・野菜摂取量は他の食品よりもビタミンCとの相関関係がよくみられた。
低濃度群と高濃度群との平均摂取量の差は、果物が20-50g/日、野菜が10-20g/日であった。
したがって、果物と野菜の摂取量を1日1サービング増やせば疾病予防につながる可能性がある。サプリメントによる摂取状況はこの研究では不明であるが、高濃度群にある多くの人はサプリメントを摂取しているように思われる。
 
 
試験・調査の背景
ビタミンCは慢性疾患の予防の役割がある。しかし、これまでの前向き研究の結果では、ビタミンCと冠動脈疾患やガンなどとの関係は確証されていない。そこで我々は、血漿ビタミンC濃度と冠動脈疾患や虚血性心疾患、ガンなどによる死亡率との関係を観察した。
 
 
試験方法
研究期間:4年間
対象:45〜79歳の男女 19,496名
 
 
結果
血漿ビタミンC濃度は、総死亡率や冠動脈疾患・虚血性心疾患による死亡率と逆相関の関係にあった。血漿ビタミンC最高濃度群は最低濃度群と比較すると約1/2であった (p<0.0001)。
血漿中ビタミンC濃度が 20mol/L上昇すると(これは果物・野菜を約50g摂取した場合に相当する)、総死亡率が20%減少した (p<0.0001)。
ビタミンCは男性においてガンによる死亡率と逆相関関係が観察されたが、女性では観察されなかった。


 
 
考 察

1日約1サービングの果物・野菜の摂取は疾病予防につながるといえる。
 

 
 
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