ビタミンE状態が高齢者の認識能に及ぼす影響
                     Rosa M.Ortegaら、J Nurt 132:2065-2068, 2002 より

 
目 的
本研究は、高齢者を対象にビタミンE状態と認識能の関連を調査した。
 
方 法
対象: 65〜91歳の認識能障害がない男性34名・女性86名
PMSQ(Pfeiffer's Mental Status Questionnaire)テストを行い、エラー数と血漿ビタミンE濃度やビタミンE摂取量との関連を調査した。
 
結 果
ビタミンE摂取量が推奨量より50%以上低い人はPMSQテストのスコアが高く、高摂取量群と比較すると非常にエラー数が多かった (09.1±1.22 vs 0.47±0.60, P<0.05)。
テストでエラーのなかった人は血清α-トコフェロール濃度が高い値を示した。(下表)
 
 
エラーのなかった人
エラーのあった人
 
男性
女性
男性
女性
血清α-トコフェロール濃度(μmol/L)
19.7±8.6
20.08±8.4
15.1±5.6
14.9±6.1
血清コレステロール濃度(mmol/L)
6.2±1.0
7.0±1.0
6.5±1.0
6.5±1.9
血清α-トコフェロール/コレステロール比
3.5±2.0
2.9±1.4
2.4±0.8
2.3±1.3
 
対象者の95.2%の人が推奨量よりも少ない摂取量であり、86.7%の人がRDAの66%以下であった。RDAの50%以下の摂取量の人は高摂取量の人よりもスコアが高かった。
 
血清α-トコフェロール濃度が18μmol/L以下の人は51.7%で、11.5μmol/Lの人は17.5%であった。
PMSQでエラーのなかった人は、エラーをした人よりも、α-トコフェロール濃度とα-トコフェロール濃度/コレステロール比が有意に高かった。
PMSQテストのエラー数と血清ビタミンE濃度との間には有意な逆相関関係がみられた(r=-0.35)。
 
 
考 察
ビタミンEと血管性痴呆症リスク低下との関連は、頚動脈硬化の進行抑制や血小板凝集・癒着の抑制などによる卒中予防の可能性も含め、血管における数多くの効果によるものであると考えられる。
また、血漿ビタミンE濃度は血管性痴呆症患者では低値であることも報告されている。
様々な実験や臨床試験、疫学的調査結果から、抗酸化栄養素を含む食品の摂取は認識能悪化のリスク予防や低減させる可能性のあることが示唆される。
 
ま と め
本研究結果では、ビタミンE状態と認識能との間に関連性のあることが証明された。
 

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