ビタミンE
  
 
ビタミンEと生活習慣病予防

 

 

過酸化脂質が生活習慣病を引き起こす

人の体は、約60兆個ともいわれる細胞が集まって構成されています。細胞は細胞膜で保護されています。その細胞膜を作る重要な成分の一つが不飽和脂肪酸です。

不飽和脂肪酸が酸素と結びついて酸化されると、過酸化脂質ができます。この引き金になるのがフリーラジカルです。過酸化脂質が発生すると、次々に連鎖反応がおきて周囲の不飽和脂肪酸を過酸化脂質に変えていってしまうのです。
細胞膜を構成している不飽和脂肪酸が過酸化脂質に変わると、細胞は正常な機能を失ったり、死んだりします。その結果、臓器に変調や病気が起こります。
動脈硬化、動脈硬化からおこる脳梗塞、心筋梗塞、そしてガンの原因の一つとして過酸化脂質があげられています。
 
 ◎ ビタミンEは過酸化脂質の発生を抑制する
ビタミンEにはいろいろな働きがありますが、もっとも注目されている重要な働きの一つは、不飽和脂肪酸を酸化から守る抗酸化作用です。つまり、過酸化脂質ができるのを防ぐ働きです。
抗酸化作用を持つビタミンEの他にビタミンCやβ-カロテン(プロビタミンA)があります。それぞれ活躍する場所が違いますが、ビタミンEはすべての細胞を守っています。
またビタミンEは、ビタミンCと共同で働くことでより優れた効果を発揮します。
 
 ◎ ビタミンEは動脈硬化発症の予防・改善に効果
動脈硬化のおきた血管の内壁は、コレステロールが異常に沈着していたり、膜の酸化によって細胞膜の肥厚や損傷がおこっています。このため血管は弾力を失い、血液が流れにくくなっています。
また、動脈壁の内側に損傷ができると血小板が集まって修復します。これを繰り返していると、粥状効果はねばりやすく、ここに血小板、赤血球、白血球や悪玉のコレステロール(LDLコレステロール)などが沈着して、大きくなります。
この塊が剥がれて流れ、さらに細い血管をふさぐことがあります。血栓です。血栓が血管につまり、血流を止めてしまう状態が梗塞で、脳におこると脳梗塞、心臓におこると心筋梗塞になります。
ビタミンEは血管の細胞膜のダメージを防いで血管そのものを健康に保ち、動脈硬化を抑制します。その一方で善玉のコレステロール(HDLコレステロール)を増やす働きも持っています。
善玉コレステロールは粥状効果の原因・悪玉コレステロールを運び出し、血管内を浄化します。
つまりビタミンEには血管本体の健康を維持する作用と同時に、血管を健康に保つ環境を整える作用があるのです。ビタミンEには動脈硬化の予防とともに、おこってしまった動脈硬化を改善する働きもあることが確かめられています。
 
ビタミンEで動脈の若さが保たれる
ビタミンEの投与で粥状硬化がおきた部位、および血液中の過酸化脂質が減ることが確認されています。
また、ビタミンEを投与した群としない群とを追跡調査した結果、2年後にE投与群では血管の弾力性がましているのに、対照群では動脈硬化が進んだことも報告されています。
この研究で、ビタミンEが動脈硬化を予防するばかりか、すでに進行していた動脈硬化を逆戻りさせて血管を若返らせる力があることがわかりました。
 
血液中のビタミンE量が少ないと脳卒中の危険
脳卒中をおこした人の血液中のビタミンEの量は、大半が正常な人の半分以下だったという発表があります。日本でも、脳卒中や心筋梗塞の発作が起きた時には、血中のビタミンEが急激に減り、逆に過酸化脂質が急に増えると報告されています。
脳卒中には、血栓ができて酸欠になる脳梗塞と、血栓ができて血管が破れる脳出血とがあります。脳のどのあたりにできるかで症状や障害が異なりますが、ひどい場合には死にいたったり、体に麻痺が表れたりします。
脳梗塞も脳出血もビタミンEを充分に摂ることで予防できると言われています。
 
心臓病の危険率はビタミンEの摂取で低下する
心臓の周囲にちょうど冠をかぶせたようにぐるりと取り巻いている太い動脈を冠状動脈といいます。ここで動脈硬化が進み、血栓ができて血流を止めてしまうと心筋梗塞になります。血流の停止が一時的におこった場合を狭心症といい、激しい痛みにおそわれます。
高血圧、高脂血症、動脈硬化などのある人は、心筋梗塞や狭心症を併発しやすいので十分な注意が必要です。
アメリカでビタミンE摂取量と冠動脈心疾患危険度との関係を長年追跡調査した結果、ビタミンE剤を使用した女性は使用しなかった女性に比べて、重度冠動脈心疾患の危険が訳40%低いことがわかりました。
また男性についても同様の試験が行われ、E剤を使っている人では冠動脈心疾患の危険度が低下することが明らかにされました。
 
糖尿病の合併症の予防にビタミンEが効果的
糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足するために、糖をエネルギーに変えることができなくなる病気です。
糖尿病になると、高血圧症、白内障、網膜症などを併発しやすくなります。
ビタミンEは、これらの合併症の予防や治療に使われて効果をあげています。 また、ごく初期の糖尿病患者に大量のビタミンEを投与したところ、糖尿病の進行が止まったという報告もあります。
糖尿病にかかってしまった人も、予防したい人もビタミンEを充分に摂るようにしたいものです。
 
ビタミンEが不足するとがんになりやすい
ビタミンE欠乏の動物にがんができやすいことは、よく知られています。また、大気汚染やスモッグなどががんができやすい環境で動物を飼育し、ビタミンEを大量に投与したところ、がんの発生率は投与量に比例して減少し、長生きしました。
ヒトを対象にした研究でも、血液中のビタミンE濃度が低いとがんの発生率は約2倍になり、ビタミンEとセレンの両方の濃度が低い場合には、危険率は10倍になるという報告があります。
 
ビタミンEはβ-カロテン、ビタミンCと共同でがんを予防
ビタミンEは単独でも発がん物質に対抗して細胞を守る力がありますが、β-カロテン(プロビタミンA)やビタミンCとチームを組むと、さらに強力な連携プレーが展開されます。
ビタミンCとEは抗酸化物質として、がんの原因であるといわれるフリーラジカルを破壊します。 ビタミンCは細胞内外の水溶性部分で働き、ビタミンEは細胞膜に入り込んで自らが酸化されることで膜の脂質の過酸化を抑制します。 ビタミンCは酸化されたビタミンEを還元して復旧させる働きもあります。
 

 
 

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